「新しい演劇のつくり方(第3期)」第4回 戯曲③
「場所」から物語を生み出す
GAKUによる演劇のクラス「新しい演劇のつくり方」。3期目となる今期は、昨年度に続いて本クラスの総合ディレクターを務める岡田利規さん(演劇作家、小説家で演劇カンパニー「チェルフィッチュ」主宰)による『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』を原作に、中高生である生徒全員が新たな物語の戯曲を書き、演出し、演じ、発表していきます。
8月18日(日)の第4回授業は、今回の舞台として設定した「遊園地」のイメージを、個々人の思い出やリサーチに基づいて具体的に広げていきます。また、その遊園地で起こるかもしれないストーリーも、台本なしの状態から即興的に演じることで探っていきます。
架空の遊園地のマップをつくる
前回の授業で多く寄せられた「同じ場所に集う、様々な人について書きたい」という想いから、戯曲の舞台が遊園地に決定。今回は、遊園地がどんな場所なのか、そのイメージを模造紙の上で具体化させていきます。
「エントランスの噴水ってテンション上がるんだよね」「小さい頃は屋台のポップコーン大好きだったな」「お化け屋敷、本当に怖かったな」など、それぞれの遊園地にまつわる記憶を遡りながら、遊園地にありそうなもののイラストに書いていく生徒の皆さん。それらを模造紙に貼りつけ、架空のマップをつくっていきます。生徒の中には、実際に遊園地に行ってリサーチしてきた人たちも。「ジェットコースターの軋む音が怖かった」「平日でもカップル風な人たちは多かった。学生なのかな?」「フードコートで食べたカレー、名前はゴージャスだったけど普通のカレーだった…。」つくりあげられた世界観の中で、それぞれの着眼にも特徴がみられます。
だんだんとマップが形になってきたら、講師の西尾さんから「この遊園地はそもそもどこにあると思う?」「どんな人が来ているかな?来てほしいかな?」「マスコットキャラクターとかもいるのかな?」という問いが投げかけられます。目の前にあるものから想像を膨らませながら、登場人物を含めた戯曲の骨子を確かなものにしていきます。
演じながら「書かずにはいられないこと」と出会う
舞台と登場人物が揃ったら台本なしの状態から即興的に演じる「エチュード」に挑戦。ランダムに割り振った登場人物で1シーンをつくっていきます。
久しぶりに遊園地で再会したバンドマン、観覧車に乗る前の高校生カップル、お客さんとの記念撮影に向かうマスコットキャラクターとスタッフ。それぞれのシーンで繰り広げられる対話には、登場人物を演じながらも、生徒の皆さん自身の想いが込められた言葉に触れる機会にもなりました。それはこれまでの授業で探ってきた「書かずにはいられないこと」でもあるようにも感じられました。
次回はそれぞれが戯曲づくりに挑戦
次回はエチュードをもとに生徒の皆さんが1シーンずつ戯曲を書き進めていきます。一人ひとりが「書かずにはいられないこと」を大切にしながら、これからどんな物語が生まれていくのか、楽しみです。
執筆・写真:杉田聖司