「新しい演劇のつくり方(第3期)」第3回 戯曲②
「書かずにはいられないこと」を探ってみる
GAKUによる演劇のクラス「新しい演劇のつくり方」。3期目となる今期は、昨年度に続いて本クラスの総合ディレクターを務める岡田利規さん(演劇作家、小説家で演劇カンパニー「チェルフィッチュ」主宰)による『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』を原作に、中高生である生徒全員が新たな物語の戯曲を書き、演出し、演じ、発表していきます。
8月4日(日)の第3回授業は、前回から引き続き戯曲づくりに取り組んでいきます。まずは書き始めてみることからはじめ、それぞれが戯曲で「書かずにはいられないこと」を探りながら、戯曲の骨子をつくっていきます。
即興で、全員で、まずは書いてみる
本格的に戯曲づくりがスタートする今回。講師の西尾さんの「とにかく書いてみよう!」との提案と共に、生徒の皆さんは早速即興の戯曲づくりに挑戦。生徒の一人が書いた「Aが窓からビルを見ている」を皮切りに、一人一行、模造紙に順々に言葉を書き連ねながら、全員で一つのストーリーをつくっていきます。
リアルタイムに物語が生まれていく現場では、生徒の皆さん、そして西尾さんも、「そう来たか!」と驚きの連続。即興だからこそ、それぞれの世界観、言葉の扱い方の特徴も垣間見えます。
言葉にならない何かも手がかりにする
これから戯曲を書き進めていく手がかりとして、生徒の皆さんと西尾さんは様々なマテリアル(素材)も持ち寄ります。いつも持ち歩いているスマートフォン、家でつけている眼鏡、もうきれている電球、家にあった刺繍糸、習っている琴で使っている爪、道端に落ちていたカナブンなど。言葉にはならないけどなぜか気になるものを囲みながら、前回授業で挙がった舞台候補と紐付けながら設定を考え、次は個人で書き進めていきます。
カナブンの入った空のペットボトル机の上に置いてある教室、自分を刺繍糸に例えて喋り続ける人のいる遊園地など、設定をより具体化して書き進めた皆さん。読み合わせをしたあとは、これから全員で書き進めていく戯曲の舞台候補について改めて検討。「教室はよかったと思う」「10代がやるにはありきたりかな。例えば、カフェはどう思う?」「どちらも色々な会話が混ざる場所かも」「他にはどんなところがあると思う?」。生徒の皆さん同士の距離感もさらに近づき、ディスカッションは盛り上がりを見せていきます。
次回は舞台のリサーチ報告
原作となる『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』がそうであったように「同じ場所に集う、様々な人について書きたい」という意見が多く寄せられたディスカッション。最後には「遊園地」を舞台として仮決定して今回の授業は終了。次回までの課題は遊園地のリサーチとなりました。中には「実際に行ってみよう!」と提案する生徒も見られ、戯曲づくりはさらに勢い付いていきました。
執筆・写真:杉田聖司