REPORT

「創造的鑑賞入門」第6回 公開リフレクショントーク


「創造的鑑賞」とはなんだったのか?
「創造的鑑賞入門」は、慶應義塾大学アートセンター教授でキュレーターの渡部葉子さんによる「鑑賞」をテーマとしたクラス。およそ3ヶ月間にわたる授業を通して、鑑賞という営みを捉え直しながら、「創造的鑑賞」を体感していきました。

9月29日(日)には、これまでの実践を振り返り、「創造的鑑賞」というこのクラスのテーマを改めて見つめていく「リフレクショントーク」を開催しました。ご登壇いただいたのは、メイン講師の渡部さんとともに、ゲスト講師を務められた砂連尾理さんと卯城竜太さん、そしてモデレーターとして「ARTnews JAPAN」編集長の名古摩耶さん。授業の振り返りの場でありつつ、一般公開のイベントとしても開いていくことで、テーマに関心を持つ様々な方にお越しいただく機会となりました。

 


振り返ることを通して改めて感じられるもの
「創造的」に「鑑賞する」とは、一体どういうことだったのか。「見る」ことの創造性を捉えていくことで、そこから何が見出していけるだろうか。トークでは、講師それぞれの方が、普段の活動や生活の中での実感も交えながら、担当授業を振り返りつつその意味や意義に言葉を与えていきます。また、その中では、生徒の皆さんへも積極的にマイクが手渡され、「これやってみてどうだった?」「授業でのこんな発言がとても印象に残っているけど、どういう気持ちだったの?」と、質問が投げかけられます。生徒と講師の間で、改めてそれぞれの心象を交わし合う場にもなっていきました。

「普段作品を鑑賞する時、作家の意図を正しく理解しようと思ってしまっていつも緊張していたけど、授業では自由に見ることが大切にされていたからリラックスして楽しく鑑賞できた。見ることが表現や創造に繋がっていることにとても驚いた」「どの授業の中にも決められた正解みたいなものがなくて、授業中に意見や感想を求められた時、正直戸惑いがあった。でも、誰も正解を持っていないということに、少し安心する気持ちもあった」「授業での実践を通して、作品だけじゃなくて、普段の生活の中にあるいろんなものの見え方や捉え方が変わった。鑑賞という行為は、どこか特別な場所に行かなくても、実は日常的にできるものなのではないかと思った」と、生徒の皆さん。

 


「創造的」に「鑑賞する」ことができる場の必要性
身の回りのものや世界を創造的に眼差すこと。それを誰かと分かち合うこと。その豊かさや喜びとともに、それができうる状況や機会への切実さを改めて強く感じるような時間になりました。GAKUとして、引き続きそういった学びの場を創出していきたいと思います。ぜひ引き続き、ご注目いただけますと幸いです。

執筆:佐藤海
写真:松村ひなた

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