2020.02.24

#ダンス / Report

【GAKUレポート】AIT × アーガオ(Er Gao)による特別ワークショップ 「日々を踊ろう:消えゆくものと、現れる記憶」

AIT(アーツイニシアティヴトウキョウ)とダンサーのアーガオ(Er Gao)によるダンスの特別ワークショップ「日々を踊ろう:消えゆくものと、現れる記憶 」をGAKUにて開催しました。ゲストにはダンスカンパニー「新人Hソケリッサ」さんがお越しくださいました。参加者は25名ほどで、子どもから70代まで、幅広い年代の方が集まりました。

 

精神障害等をかかえた当事者の地域活動拠点 「べてるの家」に滞在し、交流やワークショップを行ったアーガオが、そこで出会った人々の記憶を共有したり、参加者それぞれが自分の記憶をダンスや対話を通して表現するコンテンポラリーダンスのワークショップです。

 

 

ワークショップは自己紹介から始まり、一人一人が自分の心と体の調子を共有したり、自由に動きながら目があった人と会話をするという、「べてるの家」で毎日開催されている「ミーティング」を体験しました。自己紹介の際は「緊張しています」と発言した人が多くいましたが、からだを動かすことでだんだんと気持ちもほぐれてきて、みんな生き生きとコミュニケーションを楽しむ様子が感じられました。

 

場の雰囲気が柔らかくなってきたら、自分の中にあるイメージをダンスで表現したり、メンバーが持参した写真を元に過去の記憶を元にダンスを作って発表しました。「その日はきっと雨が降っていたから、雨の表現を入れよう」など、写真に写っていない過去の情景まで想像し、動きを作っていく様子は本当に想像力に溢れていて、ダンスという根源的な身体表現の素晴らしさを改めて実感しました。また、それらの表現は年齢や背景が異なった人々が集まって、互いを認め合うことで生まれたクリエーションでもあり、ワークショップが終わった頃には一種の絆のような不思議な連帯感が生まれていました。

 

 

インターネットの発達に伴い、周りの人と対面でコミュニケーションを取ることがどんどん少なくなっている現代ですが、やはり人と人が通じあうには顔を見て自分の思いをきちんと言葉にして伝えることが必要。今回のワークショップでは、参加者の方々の生き生きとした表情を見て、改めてその大切さを感じることができました。

 

 

先生紹介

 

 

アーガオ / Er Gao

ダンス、映像、インスタレーションなど、さまざまなメディアと実験的な手法を用いながらダンサー、振付家として活動。2001年、広州の広東歌劇学校を卒業後、広東舞踏学校にてコンテンポラリーダンスを学ぶ。2006年には、奨学生として香港の演芸学院を卒業。2007年、自身のスタジオとしてErgao Dance Production Group (EDPG) を広州に設立し、シアターダンス、ダンスフィルム、コミュニティでの創作と教育を中心に継続的な活動を行っている。身体を最も重要なメディウムとして、中国国内における社会、文化的アイデンティティ、ジェンダーなどの題目に触れる作品を生み出している。これまで、欧州からアジアまで数多くの会場で開催されたフェスティバルやイベントに参加。2019年、スイスアーツカウンシルの招きにより、Pro Helvetiaでアーティスト・イン・レジデンスプログラムに参加している。2015年、ドイツの放送メディア団体Deutsche Welleは、アーガオを「中国におけるコンテンポラリーダンサーの新星」と評した。

日本では、東京(AIT)と北海道浦河町(べてるの家)を横断しながら、両地でさまざまなワークショップを予定しているほか、参加者やコミュニティの当事者とメンバーにインタビューを行い、即興のダンスを構想している。

http://www.ergaodance.cn

 

 

 

特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]

現代アートと視覚文化を考えるための場作りを目的として、2001年に設立したNPO団体(2002年法人化)。 個人や企業、財団あるいは行政と連携しながら、現代アートの複雑さや多様さ、驚きや楽しみを伝え、それらの背景にある文化について話し合う場を、さまざまなプログラムをとおして創り出している。

http://www.a-i-t.net/ja/

 

 

特別ゲスト

 

新人Hソケリッサ

「ソケリッサ!」この言葉は造語で「それ行け!という言葉の勢い、前に進む」という意味を持つ名前です。メンバーは出演をするアオキ裕キ、そして路上生活者および元路上生活経験者で構成されており、ダンスを主とした肉体表現を行います。路上生活経験の記憶を持つ身体から何が生まれるのか、我々が人前に立ち踊ることで何が起こるのか?これらの視点を持ち、2005年より参加者を募り、舞台公演や路上などでパフォーマンスを主体とした活動を行っています。

https://sokerissa.net