「越境文学サロン」作品集が完成しました

母語ではない言語で書かれた文学作品「越境文学」を扱い、文学そのものが持つ「越境性」や、私たちの中に宿る「越境性」に着目し、読書体験を深めながら創作に向かうクラス「越境文学サロン」。参加した生徒11名が「越境性」をテーマに執筆した詩や散文作品が掲載された作品集が完成しました。
クラス「越境文学サロン」について
母語ではない言語で書かれた文学作品は、越境文学と呼ばれています。文学とは、人が生み出すもの。そうせざるを得なかった、或いは、そう選ばれた、越境というスタイルによって、その当然のことが一層迫ってくる感覚にもなります。国を越え、またがりながら言葉を紡ぐ。そこに、その人がいる、いた。そういうことが、文学足らしめているし、その生きられた経験というものが文学性を帯びているとも思います。
一方で、文学そのものが、越境性を宿しているとも言えます。なぜなら、国や時代を越えて、翻訳や流通などを経て読み継がれていくものだからです。そして、生活人、仕事人、趣味人、子ども、親、部下、上司…と、様々な立場を往来し、ときにその狭間に立つ、私達そのものも本来、越境性を帯びている存在です。
「越境文学サロン」は、そういった文学の越境性や私達自身の越境性に着目し、読書体験を深め広めていくための機会として実施されました。
全9回のクラスのメイン講師を務めたのは、ロシア人作家のアレクサンドラ・プリマックさん。日本で小説家になることを夢見る彼女が、文学と10代に込めた希望が、本クラスが立ち上がるきっかけとなりました。
約半年に渡る本クラスは、4つのタームに分かれ開講。ターム1では、アメリカ人越境文学作家 グレゴリー・ケズナジャット氏著の『鴨川ランナー』を題材とし、著者ご本人をゲストに迎えた授業の開講も叶いました。ターム2では、現代詩人 四元康祐氏を迎え、詩に自由な発想で触れるワークショップを実施。ターム3では、夏目漱石著の『道草』を通して越境性を考え、ターム4ではこの本に掲載された作品を執筆していきました。
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メイン講師 アレクサンドラ・プリマックさんからのメッセージ

この冊子が完成したことを、大変誇りに思っています。そして、その気持ちは冊子に限らない。「越境文学サロン」は、最初から破天荒なプロジェクトであった。 読書離れの時代に若者向けの文学サロンを開き、明治時代の傑作を含めて小説を通読する。しかも、教師は外国人。こんなに不思議なプロジェクトに興味を持ってくれたGAKUのチームに心から感謝する。 けれど、キックオフのトークイベントの時に、私たちは参加希望者の若い方々と出会い、彼らの質問を聞き、完全に安心した。イベントが終わってから、参加して下さった文学界の知り合いから次々連絡があり、「よかった、文学の未来も、日本の未来も、この子たちがいるなら心配する必要がない」とみんな同じ感慨を共有していた。 なので、越境文学サロンに参加してくれた方々に強く感謝を伝えたい。あなたたちと一緒に本を読んだり、議論したり、笑ったり驚いたり発見したり、目白庭園の夜色に感動したり、授業のあと雑談したり写真も撮ったりした経験は、私を人間として向上させた。皆さんも、少しだけでもその期間に内面的な変化を感じていたなら嬉しい。文学はやはり、人間をもっと人間的にさせる道具だと思う。だから、どの時代でも文学は死なない。 そして今日は、この冊子を手に取ってくださった読者を同じ旅に誘いたい。皆さんが書いてくれた作品の中に、ぜひ新しい希望や新しい自分の面を、探してみてください。
ーアレクサンドラ・プリマック

目次
はじめに ・・・P.4
生徒作品 ・・・P.6
「越境できないもの」井上 木鼓
「あなたに触れる」大貫桃加
「いまいっしょに包む。」 大貫桃加
「女王のいる国」菊池祐輝
「知り鳥」木村夢
「約1.2mm」 佐藤楓夏
「ペダンティックで抽象的な文章」須賀愛佳里
「平易に翻訳したもの」須賀愛佳里
「うつつ」菅生愛鈴
「ピーク」西谷宗之
「はいせんす文学 2.2」西谷宗之
「〈コッカ〉と〈レキシ〉」服部天香
「言葉と私の関係」山本紬
「金平糖が降る街」山本紬
「『言葉』又は『生命』」れいんぼー
講師作品 ・・・P.98
「共感する勇気」アレクサンドラ・プリマック(「越境文学サロン」メイン講師)
クラス「越境文学サロン」について ・・・P.104
「越境文学サロン」とは
授業風景写真
わたしたちが見つけた目白庭園「赤鳥庵」
おわりに ・・・P.110
クレジット
編集/執筆:アレクサンドラ・プリマック
コンセプト/ステートメント:熊井晃史(GAKU事務局長)
クラス運営/冊子制作・デザイン:松村ひなた(GAKU事務局)
表紙/挿絵デザイン:菅生愛鈴(「越境文学サロン」受講生)
タイトルデザイン:木村夢(「越境文学サロン」受講生)
2026年4月12日 発行
取扱店舗について
作品集は現在、GAKU(渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 9F)及び書店にて1000円(税込)で販売中です。なお、GAKUは自習室として毎週木曜日(15:00-20:00)に開放していますので、その機会に是非お立ち寄りください。
さらに、本冊子を国内の書店やアート拠点に配架をしていくことで、取り組みの意義や価値をより広く社会に届けていきたいと考えています。販売してくださる書店やスペース、店舗の方がいらっしゃいましたら、ぜひお問い合わせください。配架情報はGAKUウェブやSNSで情報発信をしていきますので、引き続きご関心をお寄せいただけますと幸いです。
取扱店舗
(更新日 2026年5月6日)
CITYLIGHT BOOK(東京都渋谷区代々木上原1−32−3)
ブックカフェ・ノーム(東京都豊島区西池袋2-3-10)
kibi(長野県上高井郡小布施町小布施998)
作品集等に関するお問い合わせ先
info@gaku.school
(担当:GAKU事務局 松村ひなた)