「まちの宝物と共に生きる」活動記録冊子が完成しました
伊東建築塾とともに開講している建築の第5期クラス「まちの宝物と共に生きる」の活動をまとめた冊子を制作しました。羽田地区エリアを舞台に「まちの宝物」を捉えていくことから、建築や空間を構想していったこのクラス。冊子では、授業の様子や生徒の皆さんの作品のご紹介とともに、メイン講師の廣岡周平さん(PERSIMMON HILLS architects)と佐藤敬さん(KASA)、今年度クラスを共同で実施したUR都市機構の皆さんと共に半年間の授業を振り返る対談を収録しています。
【巻頭文】
まちの宝物と共に生きる。それは、世界的建築家・伊東豊雄さんが塾長を務める「伊東建築塾」と10代のためのクリエーションの学び舎「GAKU」が連携して展開したクラスの名称でありテーマです。講師は、PERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんとKASAの佐藤敬さん。舞台は、東京都大田区の羽田地区。
歴史があるこの地域は、木造建築が密集しているため木密地域とも呼ばれ、防災のためのまちづくりが進められています。歴史があるということは、そこに人の暮らしや生活があったということです。本来全ての建築がそうであるように、何もないところに新たなものをつくるということはあり得ません。となると、「つくる」の前に、「壊す」「直す」「転用する」といったことが必要となります。
そう考えていくと、極論的に言ってしまえば、建築という営みは、それを壊して本当に良いんだろうか?つくり変えることでどのような未来が拓けるのだろうか?という問いを抱えていくことになります。時に、それはジレンマになり得ます。しかしながら、それを無かったことにしない。むしろ、より良い未来を構想するためのモチベーションにしていく。今、そのような態度を携えた取り組みが求められているように思います。
2024年の秋から翌年の初春までの期間に10回に渡って開催された授業。一連のプロセスに、この地区の防災まちづくりに携わっているUR(独立行政法人都市再生機構)の職員の方々や、建築を学ぶ大学生の方々も参画され、12名の10代の生徒の周りには、常にゆるやかなコミュニティが形成されていました。教える/教えられるという関係性を越えて、共に「まちの宝物と共に生きる」ための方法を建築的に考える。これは、そのような実践であったように思います。
本冊子は、この取り組みを改めて振り返ることでその意味や意義を捉えて深めていき、それをできるだけ多くの方々にご紹介していくことを趣旨としています。これからのまちづくり、建築教育、クリエーション教育の醸成の一助になることができれば、この上ない喜びです。
熊井晃史(GAKU事務局長)
【目次】
インフォメーション ・・・P.6
授業プロセス ・・・P.8
10代が見つけた「まちの宝物」・・・P.16
生徒作品一覧 ・・・P.18
解題鼎談 ・・・P.32
ジレンマと言葉によって立ち上がる建築
ポール・ラングランという、教育と建築を重ねた人
環境を設計するという視点
そこに住んでいない人が、そこに働きかけるということ
気配の人付き合い
防災のあり方のご当地性
コミュニケーションが起こりそうな空間を肯定するための言語
道路が先か、建築が先か
繕うこととしての建築
ジレンマがポジティブなものに変わる時
UR都市機構「まちの宝物と共に生きる」に寄せて ・・・P.64
【クレジット】
発行:GAKU
ディレクション/編集/執筆:熊井晃史(GAKU事務局長)
ドキュメンテーション/造本:佐藤海(GAKU事務局)
協力:独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)
全70ページ
2025年6月10日 発行
配布先について
冊子は現在、GAKU(渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 9F)にて無料配布中です。なお、GAKUは自習室として毎週木曜日(15:00-20:00)に開放していますので、その機会に是非お立ち寄りください。
その他、伊東建築塾スタジオをはじめ、関係者や地域のさまざまなショップやギャラリー等での配架を予定しています。配架情報はこちらのページやGAKUのInstagramにて随時お知らせしていきます。配架のご協力をいただける場合は、是非お問い合わせください。
配布等に関するお問い合わせ先
info@gaku.school
(担当:GAKU事務局 佐藤海)