「dialogue editing」本が完成しました
都市を舞台にした編集のクラス「dialogue editing」。街でじっくりと時間を過ごしながら、人や場所との関わり合いの中でおよそ半年間、活動をしてきました。その集大成が一冊の本として完成しました。街がそうであるように、多様な内容に広がったこの一冊は、「それ、大切」というタイトルがつけられました。さらに、別冊として、世界的なスタイリストの北村道子さんとの都市や文化を巡る対話も収められています。
dialogue editing booklet vol.1「それ、大切」
【目次】
「中野サンライズ」五十嵐公好子
「この街に溶けてゆく Live in 中野/呼吸(なかのの街で)」伊藤詩太
「黄色いモフモフへ(私のお気に入りの毛布のこと)」すずめ
「We have」ayaka
「私が中野で散歩できるようになるまで」ふうか
「とてつもなく、17歳」堂々琴鼓
「交差する」とよたあいら
「ふりきらないままふりきる」宮沢雛美
「たゆたうかげをおよぐこと」凪紗
「その人のユーモア」吉田十萌
「中野『Barスミス』でのこと」阿久根聡子
「北村道子という人に会えた」北村道子 ✕ 熊井晃史
【巻頭文】
『それは、大切なことだ。大切にしたい』
これは、そのような気分と想いをエネルギーにして出来上がった本です。ですので、「じゃあ、その大切な『それ』って何?」という問いを念頭に置いて読み進めて頂きたい気持ちが少しあります。さらには、読んでくださる方の心の中にも、「大切さ」が浮かび上がったり照らし返されていくようなことが起こることを願う気持ちが結構あります。
というわけで、結論的な話を先にしておいて、ここからは、この本の成り立ちをご紹介します。
これは、「編集」と「都市」をテーマとした学びの場から生まれたものです。中野に居を構える本屋、カフェ、クラブなどのスペースを教室としてお借りし、巡りながらワークショップを開催すること。地域内外の多くの方にお力添えを頂くこと。そうすることで、学びと創作が重なる場が営まれてきました。その意味でも、この本は、「街から生まれて、街に捧げられている」と捉えることができます。もっと内実を言います。この活動は、「(仮称)中野サンプラザシティエリアマネジメント準備会」による賛同と協力により、活動費が賄われ、授業料を無料にすることが叶っています(さらに、そのメンバーである名波さんや平賀さんは、活動の全てに伴走してくれています)。ですから、この本は、10代の学びや創作の機会創出とともに、少し大げさに言えば、中野という街の未来の一助になることが自ずと期待されることになります。
最後に、迂回しながらではありますが、私なりの2つ目の結論に話を運びたいと思います。本というものは不思議なもので、それぞれがちぐはぐなものだったとしても、綴じてしまえば、なんとなく一つのものとして成り立ったように感じられてしまいます。ひょっとすると、都市というものも、同じようなものなのかもしれません。バラバラなものが、バラバラなままにそこにある、いる。そのような成り立ちを、美醜や良し悪しのどちらかに振り分けるものは何か?というところには、不思議さが付きまといます。ではありますが、そのような問いを念頭に置きつつ、冒頭と同じようなことをここで繰り返します。
大切なことを、大切にし合うことを、大切にする。
今回の本づくりは、そのようにして出来上がりました。そして、それは、これからのまちづくりもそのようにして行われることを願うものでもあるわけです。
熊井晃史(GAKU事務局長/「dialogue editing」メイン講師)
【クレジット】
制作:五十嵐公好子、伊藤詩太、岡本雀、坂口綾香、佐藤楓夏、堂々琴鼓、豊田愛來、宮沢雛美、山﨑 凪紗、吉田十萌、阿久根聡子
ディレクション:熊井晃史
ドキュメンテーション:佐藤海
デザイン:前原翔一 路夢瑶
配架方法
GAKUの自習室等を活用しながら製本作業を進め、地域社会に広く本を届けていきたいと思います(製本が出来次第、GAKUスペースでも随時配布も進めていきたいと考えています)。設置してくださるお店やギャラリー、スペースの方がいらっしゃいましたら、ぜひお問い合わせください。製本のお手伝いも随時募集しています。配布場所や製本作業についてはGAKUウェブやSNSで情報発信をしていきますので、ぜひ引き続きご関心をお寄せいただけますと幸いです。