歓待としてのキュレーション 成果展「渋谷で『いきいき』生きるためのレシピ」を開催します
はじめに
「歓待としてのキュレーション」の成果展を開催します。アートキュレーションをテーマにしたこのクラスでは、キュレーションを歓待、言い換えると「新しかったり異質だったりするアイディアや存在を迎え入れることで、未来を拓くこと」として捉えています。
インディペンデント・キュレーターの池田佳穂氏をメイン講師に迎え、Chim↑Pom from Smappa!Groupの林靖高氏、都市生活者の基本的人権として「ピクニック権」を主張する東京ピクニッククラブを主宰する建築家の太田浩史氏、インドネシアのアートコレクティブruangrupaや山口情報芸術センターYCAMでキュレーターを務めるLeonhard Bartolomeus氏と共に、都市を舞台としたアートキュレーションを学んだ15名の10代。半年間の活動を経ての成果展は、「渋谷で『いきいき』生きるためのレシピ」と題されました。
鑑賞体験に重きを置かず、プログラムに参加体験し、来場者同士で創造的な交流をすることで都市との関係を紡ぎ直す。ここでは、近年注目を集めるラーニングの視点を取り入れたキュレーション方法が採られています。開催中は、15名の生徒と共に池田氏とLeonhard氏が現地に滞在しています。ぜひ、足をお運びください。
開催概要
日程:2025年3月29日(土)13:00〜21:00、30日(日)10:00〜20:00
*雨天時は延期になります。最新情報はGAKU SNSよりご確認ください。
*本企画は、同日渋谷ストリーム内で開催予定の「Shibuya Slow Stream」の連動企画として開催されます。
会場:渋谷リバーストリート(東京都渋谷区渋谷3丁目18)
参加費:無料
キュレーター(五十音順):秋本加南子、生澤 龍之介、岩田美咲、大貫桃加、小崎隆瑛、清水紗京、鈴木日菜多、高口聖菜、髙橋七彩、豊田英杜、中島ひまり、中村優里、細井昇平、溝口元太、山﨑凪紗
キュラトリアル・サポーター:池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)、Leonhard Bartolomeus(キュレーター)
[主催]GAKU
[共催]東急株式会社
キュレーターメッセージ
絶えず変容を続け、多様なシーンを育んできた都市、渋谷。本企画は、さまざまな文化や人々が交差する渋谷で、自分らしくあることを大切にしながら、「いきいき」と過ごすための文化的実践を「レシピ」として共有するプラットフォームです。「レシピ(recipe)」とは、本来、料理の作り方や材料を記した指示書を指し、手順を共有することで新たな発見や創造へとつながるものです。その語源はラテン語の「recepta(受け取るもの)」にあり、古くは医師が処方箋を書く際にも用いられていました。本企画では、この「レシピ」という概念を拡張し、都市での多種多様な過ごし方や文化的実践を各キュレーターが記録・共有する手段として活用します。
2022年に開催された大規模国際展「ドクメンタ15」では、「ラーニング(学び)」と「シェア(共有)」を核としたキュレーションが展開され、美術史において、キュレーションの枠組みを広げ、社会/アート/オーディエンスの関係性を再考させるものとなりました。本企画もまた、文化的実践の共有を通じて、学びが個人にとどまらず、都市や社会へと接続し、新たな関係性や行動を生み出す契機となることを目指します。
さらに舞台は、ギャラリーのようなホワイトキューブ空間ではなく、「渋谷」そのもの。オーディエンスは、この都市を行き交うすべての人々です。異なる背景を持つ人々が双方向のコミュニケーションを通じて気づきを得る体験が生まれ、渋谷という都市を改めて見つめ直すきっかけとなることを期待しています。
池田佳穂(「歓待としてのキュレーション」メイン講師)
プログラムについて
本企画では、「渋谷でいきいきと過ごす」ための時間や空間の使い方(文化的実践)が、「レシピ」として提案されています。渋谷リバーストリートの会場を「メインキッチン」と見立て、そこでは、それらのレシピの閲覧や解説が可能となっています。また、その場所を拠点とし、来場者の方々には、街を舞台に「レシピの実演」をワークショップ形式で行って頂きます。
なお、プログラムは、当日の天候や人との関わりの中で、柔軟に変更を加えていきます。最新情報はこちらからご確認ください。
キーワード
レシピ:
渋谷でいきいきと過ごすための時間や空間の使い方・文化的実践を「レシピ」として提案します。
キッチン:
渋谷リバーストリートの会場を「メインキッチン」、更には、レシピを体験する場所を「キッチン」と呼びます。当日は都市のさまざまな場所にもキッチンが点在していきます。
レシピファーム:
本企画では、渋谷全体を「レシピファーム」と見立て、レシピの共有・実施を行い、フィードバックを受け取りながら、キュレーターと来場者が共に渋谷の新たな可能性を考えていきます。
プログラム例
いきいき散歩するためのレシピ
「街を歩く」ということを、単に目的地に向かう手段としてではなく、それそのものを有機的な営みとして味わっていく「散歩」のレシピ。レシピの実演では、それぞれの渋谷の街での散歩体験を分かち合いつつ、最終的にはそれらを他者と分かち合うための地図を作り上げることを目指します。
共同夢のレシピ
都市の中でみんなで「昼寝」をするためのレシピ。視覚以外から受け取れる情報から都市の姿を味わいつつ、眠りを介して、人の新たな連帯の可能性を探ります。
「レシピの立ち上げ方」のレシピ
「都市をいきいき生きるためのレシピ」の立ち上げをサポートする相談室。本企画のキュラトリアル・サポーターを務める池田佳穂とLeonhard Bartolomeus、GAKU事務局の佐藤海がホストとなり、都市を舞台に新たな活動や実践を起こしたい来場者と一緒に、雑談やお茶をしながら新たなレシピ作りに並走します。
ご参加方法(事前予約不要/無料)
1)当日は、まず渋谷リバーストリートの「メインキッチン」へお越しください。
2)来場者にあわせた「レシピ」をお渡しし、実践頂きます。
3)渋谷全体を「レシピファーム」として育てていくため、ご意見や感想をぜひお聞かせください。
キュラトリアル・サポーター
当日は、各キュレーターによるレシピ実演や、参加者による新たなレシピ作成をサポートし、見守ります。
池田佳穂
インディペンデント・キュレーター。2016年より東南アジアを中心に、土着文化や社会情勢から発展したコレクティブとDIYカルチャーを調査。展覧会、パフォー ミングアーツ、教育プログラムなどを複合した横断的なキュレーションに関心をもつ。森美術館でアシスタントとして経験を積み、2023年春に独立。山中suplexの共同プログラムディレクター、アートセンターBUGおよび「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」のゲストキュレーターを務める。近年の展覧会やラーニング事業の主な企画実績として、「バグスクール2024:野性の都市」(BUG、2024年)、「みんなで土をラーンする!」(山中suplex、2024年)、「一人で行くか早く辿り着くか遠くを目指すかみんな全滅するか」(山中suplex、2024年)などがある。
Leonhard Bartolomeus(レオナルド・バルトロメウス)
1987年生まれ。山口情報芸術センター[YCAM]のキュレーター。ジャカルタ芸術大学を卒業後、2012年にルアンルパ(ruangrupa)(後にGudskul Ekosistem)に参加。近年のキュレーション・プロジェクトでは、オープン・エデュケーションとコラボレーション・プロジェクトに焦点を当てている。2017年、ジャカルタ、スマラン、スラバヤの数人のキュレーターと共に、キュレーション集団KKK(Kolektif Kurator Kampung / Urban Poor Curator)を結成。このほか、現在も海外でのインディペンデント・リサーチやコラボレーション・プロジェクトを情熱的に行っている。
「歓待としてのキュレーション」について
新しかったり異質だったりするアイディアや存在を迎え入れることで、未来を拓くということ。美術館やギャラリーなどで、現代アートの研究や展示イベントや教育活動を行うキュレーターのしごとの本質には、そのようなものがあると思います。その本質を掴んでいくと、その仕事の場は、美術館やギャラリーに限定されるものではなくなっていきます。それぞれのわたしたちの暮らしから、社会や世界に働きかける。歓待としてのキュレーションでは、そのようなことを実践していきます。
日程:2024年11月10日(日)〜2025年4月6日(日)/全10回
対象:10代(中学生以上)〜20代前半
会場:GAKU(渋谷PARCO9階)、渋谷ストリーム
料金:無料
メイン講師:池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)
ゲスト講師:林靖高(Chim↑Pom from Smappa!Group)、太田浩史(建築家/東京ピクニッククラブ)、Leonhard Bartolomeus(キュレーター)
[共催]東急株式会社
企画展に関するお問い合わせ
info@gaku.school(担当:佐藤)