- 文学
越境文学サロン
by GAKU×アレクサンドラ・プリマック
2025年7月23日(水)〜2025年11月26日(水) / 10代(中学生以上)〜20代前半
はじめに
母語ではない言語で書かれた文学作品は、越境文学と呼ばれています。文学とは、人が生み出すもの。そうせざるを得なかった、或いは、そう選ばれた、越境というスタイルによって、その当然のことが一層迫ってくる感覚にもなります。国を越え、またがりながら言葉を紡ぐ。そこに、その人がいる、いた。そういうことが、文学足らしめているし、その生きられた経験というものが文学性を帯びているとも思います。
一方で、文学そのものが、越境性を宿しているとも言えます。なぜなら、国や時代を越えて、翻訳や流通などを経て読み継がれていくものだからです。そして、生活人、仕事人、趣味人、子ども、親、部下、上司…と、様々な立場を往来し、ときにその狭間に立つ、私達そのものも本来、越境性を帯びている存在です。
「越境文学サロン」は、そういった文学の越境性や私達自身の越境性に着目し、読書体験を深め広めていくための機会です。気軽に、肩肘張らずに、書籍の感想とともに、それぞれの越境性も持ち寄りながら、時間を共に過ごしていきます。最終的には、越境性をテーマとした小冊子を参加者の皆さんと制作することも考えています。
メッセージ
このような時代において、文学を勉強する意味は本当にあるのでしょうか?と悩んでいる人は多いでしょう。
ロシア文学出身の私は、間違いなくあると信じています。なぜなら、文学は私たちの人間性を持ち出すものであり、お互いの理解を深めるものだからです。孤独や孤立を訴える人が増えている時代においては、文学は私たちの心を癒す力を持っていると信じています(私の母国語では「心」よりも「魂」という言葉が使われており、文学は「魂を癒す」とも言えると私は思います)。
なので、参加してくれる皆さんに言葉の魔力を経験してもらいたいと思い、この講座を開始します。学校での文学の学び方とは異なる、文学との新しい触れ方を提案したいとも考えています。一緒に言葉の美しさが見えるようになり、作品の分析の仕方を学び、自分なりの言葉の使い方を見つけましょう。そこから、世界への新しい見方を身につけられると嬉しいです。
アレクサンドラ・プリマック
開催概要
期間:2025年7月〜11月のうち、水曜日の全9回
時間:18:00〜20:00
会場:目白庭園「赤鳥庵」(東京都豊島区目白3-20-18)
対象:10代から20代
*全日程の参加が難しい場合は、フォームの備考欄にてお知らせください
定員:15名程度
参加費:無料
*課題図書の購入はご自身でご負担ください
講師:アレクサンドラ・プリマック
ファシリテーター:松村ひなた(GAKU)
[主催]GAKU
[共催]目白庭園パークマネジメント共同事業体
プログラム
ターム1:グレゴリー・ケズナジャット『鴨川ランナー』
7月23日(水)、7月30日(水)、8月6日(水)
『鴨川ランナー』は、アメリカ人作家グレゴリー・ケズナジャットのデビュー作であり、来日した外国人の経験を描いた作品です。二言語使用や異文化の体験を始め、エキゾチシズム化の危険性や異国フェティシズムなど、様々な問題を取り上げているテキストなので、「越境性」を掘り下げる前に越境性の定義を一緒に考える機会になるでしょう。ケズナジャットの作品『開墾地』は2021年芥川賞候補にも選ばれています。
7月30日(水)
ゲスト講師:グレゴリー・ケズナジャット
ターム2:詩のワークショップ
9月24日(水)
ゲスト講師 : 四元康祐
現在、文学の中で詩というものは一番時代遅れと思われていますが、現代の詩人と出会い、詩を書くことにチャレンジして、詩の奇跡を体験しましょう。
ターム3:夏目漱石『道草』
10月22日(水)、10月29日(水)
越境性と言えば、夏目漱石。イギリスで留学した彼は二文化圏の作家の苦労を知った最初の日本人作家の一人でした。『道草』は漱石の越境性を最も色濃く反映した作品です。イギリス留学後の自身の経験をもとに、異文化との出会いによる葛藤や、日本社会への違和感を描いています。漱石が西洋と日本の価値観の間で揺れる姿が主人公を通してリアルに表現されて、彼の越境的な視点が際立つ小説です。
ターム4:冊子づくり
11月19日(水)、11月26日(水)
文学の構成を理解し、様々なジャンルに触れ、自分に相応しい表現の仕方を見つけてから、全員で冊子を作ってみましょう。エッセイ、ショートストーリー、俳文、詩など、好きなジャンルを選んで一人一作を書きます。そこから講師側で編集し、印刷します。出来上がった冊子を販売します。作家としての本物の体験になるでしょう。
ターム5:活動をまとめた冊子の販売会
3月予定
メイン講師
アレクサンドラ・プリマック
ロシア生まれ、ヨーロッパ育ち。スペイン、イギリスに住んで、2018年に日本に移住する。University College Londonでロシア詩人のヨシフ・ブロツキーを研究、上智大学で太宰治の作品を研究した。在学中ロシア語で詩や記事を執筆して、雑誌『新世界』等に掲載される。2016 年にロシアの若手詩人賞受賞。現在は出版社に勤めながら、日本文学とロシア文学との繋がりを回復することを目指して、翻訳や執筆に従事している。夢は日本の小説家になること。
往復書簡 「あなたへ」と「あなたから」のあわいで 高柳聡子/アレクサンドラ・プリマック
https://webfrance.hakusuisha.co.jp/categories/1092
ゲスト講師
グレゴリー・ケズナジャット
作家。1984年米サウスカロライナ州生まれ。2007年に来日し、2017年、同志社大学大学院文学研究科国文学専攻博士後期課程修了。現在法政大学グローバル教養学部准教授。2021年『鴨川ランナー』で第2回京都文学賞を受賞。2022年『開墾地』で第168回芥川賞候補となる。2023年、第9回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。最新作『トラジェクトリー』を『文學界』2025年6月号に発表。
四元康祐
1959 年大阪生まれ。82 年上智大学文学部英文学科卒業。86 年製薬会社の駐在員としてアメリカに移住。90 年ペンシルベニア大学経営学修士
号取得。94 年ドイツに移住。2020年、34年ぶりに生活の拠点を日本に移す。2023年秋には米国アイオワ州で開かれた国際作家プログラムに参加。
『世界中年会議』で山本健吉賞と駿河梅花文学賞、『噤みの午後』で萩原朔太郎賞、『日本語の虜囚』で鮎川信夫賞を受賞。ほかの詩集に『ゴールデンアワー」『小説』『シ小説・鮸膠』『ソングレイン』など。『フリーソロ日録』『龍に呑まれる、龍を呑む──詩人のヨーロッパ体験』『詩探しの旅』などの詩文集、『偽詩人の世にも奇妙な栄光』『前立腺歌日記』などの小説、『谷川俊太郎学 言葉VS 沈黙』『ホモサピエンス詩集ー四元康祐翻訳集現代詩篇』『ダンテ、李白に会う 四元康祐翻訳集古典詩篇』『ミャンマー証言詩集 1988-2021 いくら新芽を摘んでも春は止まらない』などの詩論、翻訳まで著作は多数。
ファシリテーター
松村ひなた
GAKU事務局スタッフとして各授業のサポートを行う傍ら、レーベル「naru records」の運営や、ラジオステーション「Room 303」、音楽フェス「ishinoko」などにも携わる。音楽と自然が好き。
会場
目白庭園「赤鳥庵」
目白庭園は、自然に触れながら文化を育む場としての活用が期待され、平成2年11月に、伝統的な技と匠を結集して建設されました。「赤鳥庵」は、大正7年に鈴木三重吉によってこの地で創刊された子どものための文芸雑誌「赤い鳥」にちなんで名付けられた、木造瓦葺き平屋建ての数寄屋建築です。鈴木三重吉は、夏目漱石に師事し、主宰した「赤い鳥」や、推し進めた「綴方教育」等の活動により、日本の児童文学の父と評価されています。鈴木の最後の著作である「綴方読本」では、「単なる文学上の表現を練習するための学課ではない。私は綴方を、人そのものを作りととのえる『人間教育』の一分課として取り扱っているのである」と強調しています。「越境文学サロン」は、それらの歴史や活動にインスピレーションを受けて発足されました。
越境文学サロン キックオフトークイベント 「越境性を持ち寄る」
本クラスのキックオフとして、「越境性を持ち寄る」と題したトークイベントを開催します。越境文学とは?わたしたちの越境性とは?この時代に越境文学を考える意味とは?そういった問いを、来場の方々と一緒に考えていきたいと思います。
開催概要
日時:2025年6月15月(日)18:00〜20:00
会場:目白庭園「赤鳥庵」(東京都豊島区目白3-20-18)
対象:「越境文学サロン」にご関心がある方を中心にどなたでも
定員:20名程度/事前予約優先
参加費:無料
お申し込みはこちら
授業外のサポートについて
GAKUでは授業の時間以外でも生徒の皆さんの学習や創作のサポートをしたいと考え、次のような運用をしています。
・自習室としてのGAKUの開放
毎週木曜日に、GAKUを無料の自習室として10代に開放しています。課題の制作や生徒同士の交流のためにも自由にご利用いただけます。詳しいスケジュール等はこちらやGAKUのSNSにてご確認ください。
・オープンチャットの運用
主に課題に関する授業主宰者からの連絡や質疑応答等のために、GAKU事務局を管理人として生徒及び講師限定のLINEオープンチャットを運用しています。生徒ご本人の参加を想定していますが、保護者の方が代理として参加いただくことも可能です(LINEオープンチャットは個人のIDや連絡先を公開せずに参加できる「チャット」機能です。なお、LINEオープンチャット安全・安心ガイドラインに沿って運用します)。
お申し込み
1)お申し込み
お申し込みは先着順となります。定員に達し次第、受付を終了させていただきます。
こちらのGoogleフォームよりお申し込みください。
2)ご受講確定
お申し込みが確認できましたらGAKU事務局より、営業日3日以内に「申し込み完了メール」をお送りさせていただきます。こちらのご連絡をもってご受講確定となります。
*「申し込み完了メール」が届かない場合、迷惑メールフォルダに入っている、もしくはお申し込みが完了していない場合がございます。お手数ですが下記よりお問い合わせください。
授業日程
2025年7月23日(水)18:00〜20:00
2025年7月30日(水)18:00〜20:00
2025年8月6日(水)18:00〜20:00
2025年9月17日(水)18:00〜20:00
2025年10月22日(水)18:00〜20:00
2025年10月29日(水)18:00〜20:00
2025年11月19日(水)18:00〜20:00
2025年11月26日(水)18:00〜20:00
クラスに関するお問い合わせ
GAKUではクラスのご見学を歓迎しています。お申し込みにあたって、「普段の様子が知りたい」「もう少し詳細を確認したい」など、何かありましたらお気軽にご連絡をください。事前のリアルないしZOOM面談や、クラスのご見学等をご案内致します。
GAKU事務局 松村ひなた
info@gaku.school
授業へのお申し込みに関して
GAKUの授業への参加をご検討下さいまして、誠にありがとうございます。お申し込みにあたりましては、参加される生徒様の保護者の方による、参加へのご同意及び下記注意事項へのご承諾が必要となります。下記ご注意事項をご承諾いただいた上で、お申込みフォームへお進みください。
個人情報の取り扱いについて
お申し込み時にいただいた個人情報は、GAKUのプライバシーポリシーに基づき適正に管理し、授業一連の活動に関するGAKU及び授業主宰者からのご連絡、今後行うイベントの情報のお知らせ、その他これらの業務上必要な範囲でのみ利用致します。
※GAKUの個人情報保護方針(プライバシーポリシー)は、こちらをごらんください。
https://gaku.school/privacy/
※個人情報の訂正、削除等をご希望される場合には、下記のコンタクトフォームよりご連絡ください。
https://gaku.school/contact/
当日の記録写真や作品等について
当日の記録写真及び動画、作品などは、GAKU及び授業主宰者や開催協力・後援団体の業務 (ホームページやパンフレット等への掲載を含む)に使用させていただく場合があります。 また、授業の配信や記録動画の販売が行われる場合があります。なお、当日は、新聞やテレビ、インターネットサイトなどの取材が入り、授業の様子が報道されることがあります。氏名と顔が判別される動画像の同時掲載の際には、改めてご承諾をいただくようご連絡を致しますが、ご懸念の点がありましたら、お申し込みの備考欄やコンタクフォームより、お気軽にご連絡ください。
※今回の授業の様子及び授業を通して企画するアート展の様子は、10代のクリエーションの発信機会の向上及び渋谷エリアの魅力訴求を趣旨に、東急株式会社及び東急株式会社のグループ会社が所管する、YoutubeやHP等のWEB媒体、SNS、メールマガジン、リリース、デジタルサイネージ等への掲載等の可能性があることをあらかじめご了承ください。
キャンセルについて
申し込みキャンセルの場合は、必ず事前にGAKU事務局(info@gaku.school)までご連絡ください。
ハラスメントポリシー
GAKUは、すべての生徒・職員、ファシリテーター等を含む講師として関わるクリエイターや専門家等が個人として尊重され、お互いに信頼しあって学び、指導あたることができる環境をつくり、これを維持していくことが何よりも重要だと考えます。そのためハラスメントポリシーを定めています。
https://acrobat.adobe.com/id/urn:aaid:sc:AP:9456cb68-2caf-4701-891e-1c21a7b0630b
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