REPORT

新しい演劇のつくり方(第4期)第4回


日常での着眼を持ち寄る
4回目の授業となる11月9日(日)は雨模様。講師の今野さん、バストリオメンバーの橋本さん、そして、生徒の皆さんで会話を重ねながら、それぞれの2週間の中での出来事を持ち寄ります。また、「出会ってほしい人です」とご紹介いただいた、今野さんと橋本さんの友人で音楽家の槌谷颯晃(つちやさつき)さんも輪に加わっていただきました。


旅も日々もひっくるめて振り返る
今野さんは北海道に、橋本さんは兵庫に、ある生徒の方は上海、モンゴル、そしてロシアに。偶然、旅帰りの3人からお菓子のお土産が持ち寄られていた今回の授業。旅先でのエピソードもお土産話として寄せてもらいます。

今野さんが浜辺に打ち上げられた鯨と出会った話。横たわるその鯨は「人間を触っているみたい」にやわらかったそう。橋本さんが瀬戸内海で散骨に参加した話。船で沖まで出て、遺骨の入った袋を水の上に置く。その時のご自身の気持ちが語られます。ある生徒の方が上海からユーラシア大陸を北上して行った話。肌の色や話す言葉が違う様々な人種が同じ街にいることや、自分が生まれるもっと前の歴史をその風景から感じたと言います。前回の発表の時と同じように、それぞれの耳を傾け合う時間が流れます。

続いて、生徒の皆さんのエピソードも連なっていきます。ある人は、初めて美大模試に参加し、同じ予備校で一緒に頑張ってきた友人とこれからは戦わないといけないことに気づいたそう。ある人は、さほど仲良くない友人と新宿で一日中遊んだ時にふと「私のことをめっちゃ好きだと思ってくれているけど、どこが好きなんだろう?」という一節が頭の中に浮かんだと言います。

個々の経験やエピソードがお互いに触発し合うように連なっていく。そんな時間を通して、言葉を交わすというあたりまえのことの希少さをも感じます。


散歩的な会話
さらには、今読み込んでいる本の紹介も。 ある英国留学記を持ち寄った生徒の方はお気に入りの一節を読み上げてくれます。その声はいつも話す時とも異なる、耳を傾けたくなるもの。思い入れというものが声にも宿るように感じます。また、海外のスーパーで買ったもので味噌汁を作っている、と言う一節が起点となって、「海外から帰ってきた後のお味噌汁って最高だよね」と話題が広がり連なり、「上海で拾ったものでZINEを作ってみて」と、会話がまさに「散歩」的に進んでいきました。

街を散歩するように会話を重ねてきた経験は、実際の「散歩」にも影響を与えていくようにも感じます。次回は六本木の街を舞台に「散歩」を行う予定です。

【リフレクションノート】
このクラスでは、文章やイラストや写真など、形式を問わずに生徒の皆さんの持ち回りで順番にリフレクションノートを提供してもらっています。それぞれの生きてきた経験。授業に参加して味わった体験。その体験が終わったあとの体験。さまざまな経験と体験が連なりながら、このクラスが進んでいきます。

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11月9日、いつにも増してお休みの人が多く、 余った椅子が寂しげだ。 第4回目となる今回は4時間ひたすら近況報告会。 正直退屈になってしまわないかと少し心配になる。 でもそれは杞憂だったようだ。

真ん中の机にはバストリオの皆さんからの北海道・広島土産と、 菊池くんからモンゴル土産のチョコレートが並べられた。 このモンゴルのチョコ、 魚の形を模した光沢のある包装紙に包まれていて、見た目はとっても可愛いのだが、 なかなかに強烈な味だった。 草のような青臭さのある油がべっとりと舌に残ってなかなか消えてくれない。
あまりの衝撃にそこからクレヨンで一枚絵を描いたので添えておく。みんなの近況報告は色とりどりでどれも楽しかったけど、なんとなく文字には起こさないでおきたい。

こういう時間、なんか身体に馴染みがあると思ったらあれだ。 小さい頃お友達と隣同士でブランコを漕いだり、 滑り台を何周もしながら 「あのね、 きのうね、 」 と話したあれだ。やはり人間には必要だ、こういう時間。 心の枯渇していた部分が温かいもので満たされていく。

だいぶ話はそれるが芸術は他の分野と比べて軽視もしくは神格化をされがち。 軽視と神格化というと正反対に感じられるかもしれないが、 社会の外れ値として扱われるところは一緒だ。けれど私は芸術こそ最も人間的で自然な営みだと思う。

他の生き物には必要なくて人間には必要なものを煮詰めていくと、芸術や最近あったことをただ語り合う時間が残るのではないだろうかと考える日曜の午後。

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